つくる、たべる、すごす、家族の文化誌「ONION」
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三分考 -カップヌードルとショートショートと33回転-

カップヌードルにお湯を入れて3分待つ。短いようで長い。でもなんで3分なんだろう? 10分だと待てない。1分じゃダメなんですか? 安藤百福さんがカップヌードルを作ってから現在まで46年。勝手な憶測だが1分どころか瞬間ヌードルも技術的にはすでに可能なんじゃないかと疑ってみる。でもあえて3分に踏みとどまっている? 考えれば3分という数字は実に有意義な単位である事に気づいた。このようにちょっと考え事をする時間に丁度いい。今ラジオから流れているザ・ビートルズの『HELP!』は2分33秒、最近の音楽もそうだけどグッとくる音楽って大抵3分程度。最近また人気がでているというアナログレコードは33回転、つまり3分間で100回転という規格。砂時計も3分。電話も昔は3分区切りだった。『3分クッキング』もYouTube も3分程度のコンテンツだとついつい見ちゃう。そこから思うに、たぶん3分というのは、時間という流れを最も濃厚に味わえる最小単位なのだろう。たかが3分されど3分。そんな3分のおすすめ読書は星新一、そうショートショートです。食卓のテーブルに居ながら3分ちょっとで不思議な未来旅行ができちゃうのです。

「味ラジオ」(1967) / 星新一
『妄想銀行』(新潮文庫)に収録

耳を楽しませるラジオ、目を楽しませるテレビ。そして人類に残された最後の欲望、それが味ラジオだった。目、耳、そして味覚まで支配された人類は一体どんな生活になるのか?

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